ストーリー
ランク・ダミーコとの一件の後、「キック・アス」ことデイヴ・リゼウスキは退屈な日々を過ごしていた。なぜならば、デイヴは諸々の事情によりヒーロー活動を自粛していたからだ。
しかしキック・アスとして活動していた日々が恋しいデイヴは、ヒーロー活動を再開したいという思いを募らせていた。
一方、キック・アスと共にフランク・ダミーコ一味と戦った「ヒット・ガール」ことミンディ・マクレディは、亡き父親の親友であるマーカス・ウィリアムズ巡査部長に引き取られ、普通の学校生活を送っていた…かに思われたが、彼女はマーカスに禁止されていたヒーロー活動を継続していた。度々学校を抜け出しては、街の平和を守るために悪と戦う日々を送っていた。
そんなある日、普通の生活に我慢できなくなったデイヴは、とうとう「キック・アス」として活動を再開するために行動を開始する。「なりきりヒーロー」ではなく、本物の「ヒーロー」になるために。
こうして、キック・アスは再び街へと繰り出し、平和を守る為に悪と戦う決意をする。
活動を再開してしばらくすると、デイヴはあることに気がつく。
「自分以外にも街を守るヒーローがいる」
デイヴの「キック・アス」としての活動は、いつのまにか多くの人々の心を動かし「正義の心」を持つヒーローを生み出すきっかけとなっていた。
その後、デイヴはSNSを通じて知り合った「スターズ・アンド・ストライプス大佐」をはじめとするヒーロー達と、スーパーヒーロー軍団「ジャスティス・フォーエバー」を結成し、世界の平和を守ることを誓う。志を同じくする同志を得たデイヴのヒーロー活動は限りなく充実したものとなった。
一方その頃、フランク・ダミーコの息子であるクリス・ダミーコは、「レッド・ミスト」から「マザー・ファッカー」へと名を改め、悪の軍団を立ち上げていた。やがて彼は、凶悪な犯罪者や悪人達を率いてデイヴ達の前に立ちはだかる。
全ては父親を殺した「キック・アス」に復讐するために…
キャスト・スタッフ
- 監督
- ジェフ・ワドロウ
- 脚本
- ジェフ・ワドロウ
- 原作
- マーク・ミラー/ジョン・ロミータ・Jr 「KICK-ASS 2」「Hit-Girl」
- 出演
- アーロン・テイラー=ジョンソン(デイヴ)
- クロエ・グレース・モレッツ(ミンディ)
- クリストファー・ミンツ=プラッセ(クリス・ダミーコ)
- ジム・キャリー(サル・バートリーニ)
- リンディ・ブース(ナイト・ビッチ)
- ドナルド・フェイソン(ドクター・グラビティー)
「キック・アス / ジャスティス・フォーエバー」について
今回の映画感想は「キック・アス / ジャスティス・フォーエバー」です。前作同様、マーク・ミラーとジョン・ロミータ・Jrの同名コミック「Kick-Ass 2」「Hit-Girl」を原作としたスーパーヒーロー映画で、前作「キック・アス」の続編になります。
前作の「キック・アス」が本当に面白かったので、続編が出ることがとても嬉しかったのを覚えています。前作「キック・アス」では、デイヴが「ヒーローとはいかなるものか」ということを身をもって教えてくれたわけですが、今作もその核となる部分は健在です。
それを踏まえた上で、今作は「なりきりヒーロー」から「本当のヒーロー」となるための、デイヴの成長物語という位置付けとなっています。もちろんそれはデイヴだけではなく、「ヒット・ガール」ことミンディにも当てはまります。また、前作「キック・アス」同様、持ち味である派手な(エグい)アクションシーンやセリフ回しなどもしっかりとあって、とても楽しく鑑賞することができました。
前作で「キック・アス」が人々に与えた影響
前作では、ボロボロになり、お世辞にもカッコイイとは言えない戦い方をしながらも「キック・アス」は死に物狂いで悪に立ち向かっていきました。その姿は、悪に対して無関心とも言える市民(関わったら最悪殺されてしまうかもしれないので、やむを得ないことですが)の心に変化をもたらしました。
特別な力を持っていなくても、ほんの少しの勇気で現状を変えられる、と。そしてそうやって必死に頑張っている人を肯定し、応援し、自分たちだって…!という空気が形成されたと思います。それは本当に小さな変化だったと思います。そして、とても大きな一歩でもありました。
「キック・アス」はヒーローとして、ヒーローにしかできないことを成し遂げていたのです。それも、圧倒的な力や超能力などによってではなく、何の能力もスキルもない、どこにでもいそうな青年が体を張り、泥臭く戦って、です。このどこにでもいそうな、というところがポイントです。もしも「キック・アス」が超人的な能力を備えたスーパーヒーローだったら、人々はきっと「彼がいれば問題ない」「キック・アスが何とかしてくれる」と思い、彼を頼ったでしょう。しかしそれでは前述した「悪に対して無関心(誰かが解決してくれる、自分は直接関わりたくないなど)」であることと本質的には変わらなくなってしまうのではないでしょうか。
もちろん、スーパーヒーローを待ち焦がれることや頼ることが悪いことだと言うつもりはありません。大抵そういうスーパーヒーローが出てくる場合、敵も同じくらい強かったりするので、もはや一般人がどうあがいても勝てないレベルですので…
ですが、この映画においては、スーパーヒーローでなくともほんの少しの勇気を持って一歩を踏み出せば、誰だってヒーローになれる、ということがテーマになっていると思いますし、実際にほぼ一般人だった「キック・アス」が体を張って戦う姿を見たことで、市民たちの中に「誰かを頼る」のではなく、「自分たちでもできるんだ」という空気が生まれているわけです。
このように、「キック・アス」は人々に勇気を与え、奮い立たせることができるヒーローとして重要な役割を担っていました。まさに「ヒーローとはいかなるものか」ということを身を持って人々に示してくれていたのです。
その後、たくさんのヒーローが立ち上がったことからも、「キック・アス」が人々に与えた影響がいかに大きかったかがわかりますよね。
そして、デイヴが頑張っている姿(やらかしたり、ダメな部分も含め)をずっと見てきたからこそ、とても胸が熱くなるのです。正直泣きそうになるくらいです(笑)こういう気持ちになれるので、僕はこのシリーズが大好きなんです。
スターズ・アンド・ストライプス大佐
デイヴがSNSを通じて知り合ったヒーローの一人です。ヒーロー軍団「ジャスティス・フォーエバー」の発起人でもあり、ヒーロー達の活動拠点である秘密基地や「ジャスティス・フォーエバー」のチームロゴなどを用意してくれた人でもあります。このスターズ・アンド・ストライプス大佐、「エース・ベンチュラ」「マスク」などの映画でおなじみのジム・キャリーが演じているのですが、とてもうさんくさいです(笑)ジム・キャリーというだけでなんかもうすでに面白いです(笑)
よく笑顔を見せてくれるのですが、この笑顔が何ともいえないです(笑)スターズ・アンド・ストライプス大佐というヒーローネームもなにかのフラグかと疑ってしまうレベルですよね。キック・アスや他のヒーロー達と共に、正義を全うし、街を守ろうと誓うわけですが、本当にこの人大丈夫なんだろうか…?と思ってしまいます。やっぱりどうしても笑顔がなんか、普通の人のそれじゃないように見えるんですよね。
彼の笑顔を見て、これが正義の味方に見える人はいないのではないでしょうか(笑)どこか狂気すら感じますよね。まあ、他のヒーロー達も大概なんですが、どうしてもジム・キャリーが…(笑)
かなりインパクトのあるヒーローですが、「スターズ・アンド・ストライプス大佐」が気になる方はぜひ本編を観ていただきたいです。そして彼がどういう人間かを知ってほしいです。
ミンディとして、ヒット・ガールとして
前作にて、「ヒット・ガール」ことミンディは、亡き父親の親友であるマーカス・ウィリアムズ巡査部長に引き取られていました。その際、「ヒーロー活動は辞めること、普通の女の子として学校へ通うこと」を約束しました。
しかし、ミンディはヒット・ガールとしてこっそりとヒーロー活動を続けていました。なぜならば、今は亡き父親である「ビッグ・ダディ」ことデイモン・マクレディと「この街を守る」と約束していたからです。そして、ヒーローとしての自分こそが本当の自分であると、強く思ってもいました。
一方、マーカスは親友だったデイモンの娘であるミンディに危険なことをさせたくない、一人の女の子として幸せになってほしいとの思いでヒーロー活動を禁止したわけですが、ミンディがヒーローとしての自分が本当の自分だと思っているのは、父親であるデイモンに原因があるとも考えていました。ミンディが物心つく前から、復讐の為に殺しの技術を教え込んできたことで彼女は歪んだ価値観のまま育ってしまい、それが正しいことだと思い込まされているのだと。
しかし、デイモンはミンディをただの道具として訓練していたわけでは決してありません。それはミンディへの接し方を見ていれば一目瞭然です。デイモンはミンディを心から愛していましたし、マーカスもそれを痛いほどわかっていました。また、ミンディも父親を愛していましたし、マーカスのことも大切に思っているのも事実です。
正直、何が正しいのかは誰にもわかりません。苦しみながらも、マーカスとミンディは自分がベストだと思うことを実行しようとしているだけなのです。
ミンディとして幸せになってほしいマーカス、「ヒット・ガール」として亡き父親との約束を守る為に悪と戦いたいミンディ。
このような状況の中で、ミンディがどういった答えを導き出すのか、自分が何者なのか、といったところも見どころの一つだと思います。そのことでミンディは苦悩することになるのですが、その時のデイヴとのやりとりもすごくいいです。デイヴの対応とかがすごく暖かくて、ホロリときました。
デイヴもそうですが、今作はアイデンティティの確立といった内面の「成長」がメインテーマであるように感じました。
最後に
登場人それぞれに変化や葛藤があったり、前作とはまた一味違った面が描かれているのが良かったです。特に、デイヴの変化が本当に良かったです。ぜひ鑑賞してほしい作品です。そのほかにも、「マザー・ファッカー」率いる悪党軍団も相当ぶっ飛んでいたりするので、見応えがあります。