ストーリー
ニューヨークで暮らす孤独な男、レオン。彼の生業は「殺し屋」です。
ある日、仕事を終えたレオンは、自分が暮らすアパートで1人の少女と出会いました。少女の名前はマチルダ。レオンはマチルダの顔に暴力を振るわれた跡があることに気づきます。
そう、マチルダは家族から虐待を受けていたのです。
マチルダはレオンに問いかけます。「大人になっても人生はつらいか?」
レオンは答えます。「つらい」
マチルダの毎日は辛く苦しいものでしたが、彼女が唯一心を開くことができる存在がいました。幼い弟、マイケルです。マチルダはマイケルをとても可愛がり、また、とても大切にしていました。彼女の唯一の生きがいと言ってもいいくらいに。
そんな中、マチルダの日常が一変する出来事が起きます。マチルダの父親が麻薬密売組織の「品物」を横領したとして、スタンフィールドという人物とその部下たちから襲撃を受けてしまいます。
マチルダは襲撃の際、顔見知りになっていたレオンのために買い物に出かけており、難を逃れることができましたが、買い物から戻ってきた際に全てを悟ります。
父親、義母、義姉、が殺されたこと。そして愛する幼い弟、マイケルまでもが犠牲になったことを。
マチルダはとっさに隣室のレオンに助けを求め、レオンはしばらく逡巡した後に彼女を受け入れます。その後、レオンが「殺し屋」だと知ったマチルダは、弟の仇を殺してほしいとレオンに依頼しますが、、、
キャスト・スタッフ
- 監督
- リュック・ベッソン
- 脚本
- リュック・ベッソン
- 出演
- ジャン・レノ(レオン)
- ナタリー・ポートマン(マチルダ)
- ダニー・アイエロ(トニー)
- ゲイリー・オールドマン(ノーマン・スタンフィールド)
- ピーター・アペル(マイキー)
「レオン 」について
今回の映画感想は「レオン」です。
この映画は、監督であるリュック・ベッソンのハリウッド初監督作品であり、ジャン・レノ、ナタリー・ポートマンがブレイクするきっかけとなった作品です。
孤独な殺し屋と家族を殺された少女の物語です。全編を通して、どこかもの悲しげな、どこか懐かしいような雰囲気を放っています。街を歩くシーンや部屋で過ごしているシーンなど『いい映画を観ている』感を強く感じる事ができます(笑)
また、僕はこの映画でゲイリー・オールドマンという俳優を知り、彼の大ファンになりました。彼のキレっぷりは本当に鳥肌が立つくらいカッコよかったです。
孤独な殺し屋、レオン
生業が「殺し屋」なだけあって「仕事」のシーンが当然ながらあるのですが、それがとにかくカッコイイです。洗練された殺しの技術で確実にターゲットを追い詰め、息の根を止める様はまさにプロフェッショナルです。逆に相手の立場からするとかなり怖いです。得体の知れない侵入者、次々とやられていく手下達。気付けば周りの味方は皆死に、生きているのは自分だけ。そして静寂に包まれる部屋・・・とても恐ろしいです。
レオンの職業が「殺し屋」なので、冷酷で無慈悲な人間だと思ってしまいますが、実はそうではなかったりします。彼自身、信念やルールを持って行動していますし、人間らしい面もしっかり持っていたりします。
そういった面を知ることで、「殺し屋」としての、一人の人間としての彼の魅力に気づくことができます。
辛い現実に負けず日々を生きる少女、マチルダ
家族から虐待され、辛い毎日を過ごしていたマチルダ。しかし彼女は萎縮することも怯えることもなく、強く生きています。これがマチルダの一番の魅力だと僕は思っています。もちろん、内心では辛い現実や家族のことが嫌でたまらないのでしょうが、それらに対して「あきらめない」姿勢がすごく美しいです。
あれだけ辛い目にあっていながら、弟のマイケル(自分を虐待している両親の子供、マチルダとは血が繋がっていない)をとても大切にしている、大切にできるというところが彼女の強さを表しています。もちろん、マチルダも弟のマイケルに救われていた部分も大いにあるとは思いますが、「他人を思いやることができる」ということは、辛い現実の中でなかなかできることではないと思います。
そんな中、レオンと知り合い少しお喋りするようになる彼女ですが、その時にレオンに見せる笑顔、これがまたいい笑顔なんです。毎日が辛いことの連続という環境の中で笑えるということが彼女の強さを物語ってます。ほぼ家族としか接点がなかったマチルダにとって、家族以外の人と関係を持てたことが嬉しかったいうのもあるのかも知れないですね。自分と同じで孤独なレオンに仲間意識が芽生えたというのもあるのかも知れません。
また、「大人になっても人生はつらいか」という問いには、いつかは辛い現実が終わるのか、自分も大人になれば楽しい人生をおくれるのか、といった将来に対する希望と辛い現実からの逃避の答えをレオンに求めますが、帰ってきた答えは「つらい」でした。
帰ってきた答えが厳しいものであったにも関わらず、マチルダがレオンに笑顔を見せたるようになったのは、相手が子供だからといって「人生は楽しいことがたくさんで素晴らしいものだ」といったようなありきたりな事をいわず、真剣に考えて正直に答えてくれたからではないでしょうか。例えその答えが「つらい」だったとしても、マチルダは初めて信頼できる人間に出会えたと思ったはずです。
魅力が溢れすぎる悪役、スタンフィールド
『LEON』を観たら絶対に忘れる事が出来なくなる悪役がスタンフィールドです。もうヤバイです。初登場時に完全に持って行かれました。何をするかわからない、何を考えているのかわからない、という雰囲気がビンビンです。彼について何か一言言うとすれば、「関わりたくない」です。敵としても味方としても関わるのはごめんです。それくらい怖いです。怖いんですが、彼のシーンが終わると、次はいつ出てくるのか、早く彼の出番がきてほしい、と期待している自分がいます。それくらいスタンフィールドには謎の魅力というかカリスマが備わっているのです。
これは何といっても、スタンフィールドを演じたゲイリー・オールドマンの演技がいかに凄いかということに尽きると思います。僕も『LEON』を観た後、この俳優スゴイ!カッコイイ!ヤバイ!と調べました。すると彼の演技に対して絶賛する声がたくさん見つかりました。『LEON』の話題が出ると必ずといっていいほど、ゲイリー・オールドマンが出てきます。それくらい彼の演技が素晴らしいということだと思います。
この『LEON』の悪役っぷりから、彼には悪役のオファーが沢山くるようになったそうです。また、この時のスタンフィールドの演技についてインタビューを受けることがあまりにも多く、必ずといっていいほど引き合いに出される(あれだけスゴイものを見せられたら当然かと思いますが)ようになっていたそうなのですが、本人は「そんな役あったっけ?」とよくトボけていたようです。
あまりにも素晴らしい演技だったため、「ノーマン・スタンフィールド」は彼の代名詞となっていましたが、ゲイリーはあくまでも「スタンフィールド」は演じた役の一つであり、自分の全てではないと思っていたみたいで、ことあるごとに「スタンフィールド」のことばかり聞かれるのを快く思ってはいなっかたそうです。上述のトボけるということも、そういった理由からだったんですね。
また、ゲイリー本人は悪役よりも正義の味方を演じたいと語ったことがあります。その理由は、自分の息子に正義のヒーローをやっているパパを見せてあげたいからだとか(笑)息子想いのいいパパであり、ユーモアもある素晴らしい方ですよね。しかし、どうしてもオファーがくるのは悪役が多いらしく、なかなか正義の味方を演じる機会に恵まれていないそうです(笑)
最後に
僕はゲイリー・オールドマンに魅了されてしまいましたが、もちろんジャン・レノ、ナタリーポートマンの二人も凄く魅力的です。そのため、レオン側のパート、スタンフィールド側のパートと、全編退屈することがありませんでした。本当にいい映画だと思います。