キック・アス
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- Title
- Kick-Ass
- Release date
- 2010
- Country
- USA / UK
"特殊能力ゼロ、モテ度ゼロ、体力微妙──なりきりヒーローが世界を救う"
ストーリー
「なぜ、誰もスーパーヒーローにならないのだろう?」
アメコミが大好きでスーパーヒーローに憧れる冴えないギークの高校生デイヴ・リゼウスキはある時そう思った。
現実の世界ではアメコミ同様、犯罪や暴力が溢れているのにそれらから助けてくれるヒーローだけがいないのはおかしいと。そしてデイヴは決意する。
「ヒーローがいないのなら自分がなればいい」
こうしてデイヴは、スーパーヒーローとして街を守るための活動を開始するのであった。ネットで買ったスーツとマスクを身に纏い、スーパーヒーローとして颯爽と街へ繰り出すデイヴ。
しかしデイブの思いとは裏腹に、何の訓練もしておらずアメコミヒーローのような特殊能力も持っていない彼は車上荒しをしていた暴漢二人組に腹部を刺され、あっさりと倒されてしまう。瀕死のデイブは何とかその場から逃れようとするが、運悪く車にはねられてしまう。その後、救急車で病院に担ぎ込まれたデイヴはなんとか一命を取り留めるものの、彼のヒーロー活動初日は惨憺たる結果となってしまった。
しかし彼は、その後もヒーロー活動を続ける選択をし、再び街へ繰り出していく。
そんなある日、街をパトロールしていたデイヴはチンピラ3人組に襲われている男性を見つける。男性を助けるべく、死に物狂いでチンピラと戦うデイヴ。ボロボロになりながらも見事男性を救出することに成功し、その戦いの模様を撮影していた市民から名前を尋ねられたデイヴは、自らを「キック・アス」と名乗る。
この時に撮られていた動画がネット上にアップされたことで、「キック・アス」は一躍街の有名人となってしまう。
その後もデイヴは「キック・アス」として活動を続けていたが、ある時、「ヒットガール」「ビッグ・ダディ」という謎の二人組がデイヴの前に現れる。二人はデイヴと同様にヒーロー活動をしていると告げる。その上で、何か困った事があったら自分達を呼んでほしいとデイヴに伝えるが…
キャスト・スタッフ
- 監督
- マシュー・ヴォーン
- 脚本
- ジェーン・ゴールドマン
- マシュー・ヴォーン
- 原作
- マーク・ミラー/ジョン・ロミータ・Jr 「Kick-Ass」
- 出演
- アーロン・ジョンソン(デイヴ)
- クロエ・グレース・モレッツ(ミンディ)
- クリストファー・ミンツ=プラッセ(クリス・ダミーコ)
- ニコラス・ケイジ(デイモン・マクレイディ)
- マーク・ストロング(フランク・ダミーコ)
「キック・アス」について
今回の映画感想は「キック・アス」です。
マーク・ミラーとジョン・ロミータ・Jrの同名コミック「キック・アス」を原作としたスーパーヒーロー映画となっております。
この映画、僕は本当に大好きです!ヒーロー映画といえばアイアンマンくらいしか観たことのなかった僕ですが、この映画を観たことで他のヒーロー映画も観るようになりました。
「ヒーローとはいかなるものか」という事を考えさせてくれるとてもいい映画です。
キック・アス、ほぼ一般人
はい、ほぼ一般人です。デイヴには生まれ持った強大な力などはありません。大富豪でもなければ天才的な頭脳も持っていません。本当にどこにでもいるギーク高校生です。暴漢にも簡単に返り討ちに遭いますし、人助けもなりふり構わずがむしゃらに戦ってなんとか勝利する(相手が諦める)感じです。とてもではありませんが、トニーなんとかみたいにスマートには振る舞えません。
ではキック・アスと一般人の違いとは一体何なのでしょうか。そう、デイヴには他のヒーロー達が必ず持っていると言ってもいいものをしっかりと持っているのです。それは「正義の心」です。
彼は世間にヒーローがいないことを嘆いていました。それと同時に今目の前で起きている犯罪や悪事を「いつものことだ」「トラブルには関わりたくない」と見て見ぬ振りをする事が当たりまえになっていた市民(デイヴ自身も含め)の姿勢に疑問を持ってもいました。「本当にこれでいいのだろうか」と。
一般人であれば、犯罪者や悪党に立ち向かうリスクを考えたらトラブルを避けるのは当然のことです。誰も責めることはできません。本当は良くないことだとわかっていてもどうしようもないと思います。
しかしデイヴは違いました。誰もそうしないのなら、自分がそうしようと立ち上がるのです。ここが一般人とヒーロー「キック・アス」との最大の違いであると言えるでしょう。もちろん、前述のようにほぼ一般人なので散々な目に遭いますが(笑)
しかしどんなに手ひどくやられようが、みっともない戦いをしようが、決して引き下がらずに悪党に食い下がっていく姿はまさにヒーローそのものです。はっきり言って感動しました。「キック・アス」が懸命に悪と戦う姿は、人々に勇気を与えます。彼は本当に素晴らしいヒーローです。
これだけ持ち上げると、あたかもデイヴがとても素晴らしい人間のように思うかもしれませんが、実際は本当にどこにでもいる高校生です。学校のマドンナに恋をしますし、ギーク友達とアメコミの話で盛り上がったり調子に乗って失敗もします。どこか挙動不審で頼りなく、危なっかしい感じもします。
だからこそ、だからこそなんです。そんなデイヴが、どこにでもいる一市民が、ヒーロー「キック・アス」として精一杯頑張っている姿に感動し熱い気持ちがこみ上げてくるのです。
ヒット・ガールとビッグ・ダディ
ヒーロー活動をしていたデイヴの前に現れた二人組です。この二人、「キック・アス」とは違い鬼のように強いです。「ヒット・ガール」は可愛い女の子なのですが、戦闘になるとかなりエグいです。攻撃も言葉使いも容赦ありません。「ビッグ・ダディ」は寡黙で淡々としていますが、戦闘技術は「ヒット・ガール」の比ではないくらい洗練されています。一撃一撃が確実に相手を殺すために繰り出されており、はっきり言ってとても怖いです。
彼らの戦闘スタイルを見ていると。「本当にヒーローなの・・・?」と思ってしまいます。彼らは一体何者なのか、「キック・アス」とどのように関わってくるのかといったところも見どころのひとつです。
ちなみに、「ヒット・ガール」役のクロエ・グレース・モレッツは当作品で知名度をあげることになったのですが、その経緯がまた面白かったりします。劇中の「ヒット・ガール」は11歳の少女なわけですが、前述の通り攻撃も言葉使いも容赦ないものとなっております。当然のように放送禁止用語を多用し、エグい攻撃で悪党を叩きのめす役柄を少女が演じることに道徳的非難が多数寄せられました。しかしながら、その非難された役柄の演技が多くの人々に称賛されたこともまた事実です。
実際、「キック・アス」という映画において、「あどけない少女がバイオレンスなアクションをしながら放送禁止用語を連発する」ということは大きな魅力のひとつだということは間違いないと思います。そういった部分がなかったとしたら「キック・アス」という作品がここまで魅力的なものにはなっていなかったのかもしれません。また、今作においてクロエ・グレース・モレッツという女優も注目されなかったかもしれませんね。
僕としては「ヒットガール」というキャラクターに出会えたことをとても嬉しく思っています。これに関しては賛否両論あるかと思いますが、この映画の本質はあくまで「ヒーローとはいかなるものか」であると思っていますので、エグい攻撃や言葉使いというところに囚われることなく(そういった部分も「キック・アス」という映画の魅力でもありますが)鑑賞していただければ幸いです。それくらい本当にいい映画なんです。
最後に
色々と物議を醸したこの作品ですが、本当に面白いです。鑑賞後に何でかわかりませんが、自分も負けてられないな、しっかりしなくちゃな、と高揚感に包まれつつそう思ってしまう作品です(笑)正直、デイヴには勇気をもらいました。何か新しいことにチャレンジしてみたくなります。